吾輩は吾輩である

どこかに理解者いるのかな

女の子でいたい

今日は恋愛遍歴からの自己分析。

 

同性にモテた思春期だった。

私自身はお姫様に憧れる夢見がちなTHE女の子でありながら

自分の好きなものを守り抜く勇ましさと強さみたいのもあって

友人に憧れを抱かれることは然程珍しくはなかった。

 

それ故に「何も与えずただ側にいるだけ」で成り立つ友情に不慣れ。

いつも何かしら才能を発揮して与えるパフォーマーになりがちで

皆の気を引くためのアイディアを常に考えてるようなタイプ。

まぁ今回はその話は置いといて。

 

最初は小4くらいだったかな。

よくつるんでた近所の親友といつものようにお泊り会をしていて

布団の中でじゃれながら告白された。

そこから特別な関係に発展することはなかったけど

好意は嬉しかったし、相手もその返事で満足してくれて

深く考えるような年齢でもなくただ求められるままにじゃれてた。

その後その子は普通に男の子に恋をして

結婚して子供産んで離婚したって実家の親から聞いたような。

 

小6で同じクラスの男の子に告白されて

私には別の学校に好きな男の子がいたものの押しに押されて心が動いて

中学あがってすぐくらいまでは付き合ってた。

彼の家の両親不在時によく遊びに行ってめくるめく大人の世界にドキドキ。

子供ながらにすごく尽くしてくれる人だった。

あったかくておっきくて、私が記憶にある安心できた男の人って彼だけかも。

バレンタインにチロルチョコしかあげなかったのに

手作りしたドラえもんの大きなクッキーくれたの嬉しかったなー。

なのにやっぱり他校の片思いの人がよくて冷たくバッサリ。

 

片思いの熱意も冷め、高校に上がると流行の一環として彼氏が欲しい時期。

適当に知り合った男の子と付き合ったけど

相手はえっちなこと以外興味ないって感じで続くわけもなく。

別れてから思うとあの苦行によく耐えたなぁってくらい相手の要求ばっかだった。

この年頃はこういうケース周囲にも多かったような。

女の子は自慢出来る彼氏が欲しい、男の子はヤリたい盛り。

 

転換期は大学生。

趣味である音楽繋がりの友人が増えたらその世界には同性愛者が多かった。

ノン気の私がゲイやレズの友人と仲良くしていたボーダーレスな世界。

ゲイであることを知っていながらその男の子に恋をするものの叶わず

レズの子から猛アタックを受けて、受け入れてしまうという展開に。

私多分好意を受けると喜びで満たされちゃって

その先起こる障害とか本来の形とかどうでもよくなっちゃうんだろな。

 

女の子を愛せるのかとか肉体関係の問題とか

躊躇しなかったわけではないけど

彼女の好意を受け入れるか突き放すかの選択をする際に

そこはたいした問題ではなかったと思う。

元々友達として仲良しで意気投合していて大好きだった。

出逢った頃からノリでしょっちゅうキスされてた。

神経切断の大怪我をして傷心だった時に必死に側で励ましてくれて

この子がこんなに求めてくれるなら…って許容範囲を広げた感覚。

 

子供から大人に変わる年齢の恋愛は新鮮で楽しくてどっぷり。

高校時代の恋愛がステイタスを重視しがちな「外向け」であったのに対して

心を満たすことを重視する「内向き」に変わった気がする。

でも人と付き合うということに関して未熟な故に

距離の縮め方が急すぎたのかもしれない。

常に連絡をとって毎日のように遊んで週末のお泊りという密着感。

なかなか釣れなかった筈の魚が逆に過度に求めてくるようになって

相手の女の子は多分疲れちゃったんだろうなと思う。

2年半くらい付き合ったけど最後はどろどろな別れ方をした。

 

すごく厄介なカメレオンの人だった。

自分が好かれるためなら何にでもなる、演じることに一切の抵抗がない人。

演出に必要とあらばいくらでも嘘をつく。

付き合う前は正統派王子様のように男装してエスコートし

ノン気の私の胸キュンポイントを的確に突いてきた。

相手の女の子としての可愛さを褒めたら全力で女の子になった。

アニメ声で甘えてくる可愛い子にメロメロで恋愛バカになってたけど

「演じれば気を引ける相手」となった私は彼女の餌だった。

 

親から虐待を受けているとか

心臓病で余命が短いとか

そのせいで入退院を繰り返しているとか

田舎の祖母に育てられ数年前まで海外暮らしで母とは別居し

ホストの兄と2人で住んでて私との付き合いをよく思ってないとか

私は疑いもせずに全部彼女の言うことを信じた。

いや、1度疑ったことを告げたら逆切れされて

その迫真の演技に負けて呑まれて信じる以外になくなっていった。

英語は実際ペラペラだったし

基本的にキャラがぶっ飛んでたから割と何でもありえそうに思えた。

残り少ない余命を尊く思って情は深まった。

 

デートの約束をすっぽかされる。

理由は発作で救急車で搬送されたと数日経って泣きながら電話で話されると

連絡がつかなかった時間の不安と怒りは心配一色になる。

実際に私の目の前で発作の演技をしたこともあった。

 

音信不通になることが増えた。

理由は入院だと言い、退院してから弱々しい声で電話がくる。

病院名を教えてくれたらお見舞いに行くと言っても

兄がそれを許さないから遠慮して欲しいと言われ引き下がるしかない。

「会いたい」と言って電話越しに泣く彼女。

なぜ心が通じ合ってる私たちが会えないのだろうかと苦悩した。

 

自力で病院を探してみようと試みたけど

家族以外には個人情報を明かせないと調査は不可能だった。

戸籍で管理される法律を呪う。

入院中の携帯は兄が持っていると言って常に電源は入ったまま

かければ延々と呼び出し音が鳴る。

でも通話中だったり呼び出し音を切られることがあった。

兄に少しでもダメージを与えられるならと憎しみ任せに鬼電。

たまに一瞬通話にして切る、という反撃を食らうようになった。

後にそれは兄の仕業ではなく、入院もしてない本人の対応だと知る。

 

予定入院でデートが出来ないと言われていた日に

よくお揃いの服を買っていた行きつけの店で彼女の来店情報を聞かされた。

いやまさかそんな筈は。

私への好意の減少と共に嘘のフォローが雑になってきていたんだろう。

嘘を信じさせたい想いと、バレてもいいという想いのバランスが崩れ出す。

 

彼女はリスカした腕を見せてきた。

虐待に苦しむ心の内、余命への不安、私となかなか会えない寂しさ

切々と泣きながら訴える。

同調した私も自分の手首を切るようになった。

それを知った彼女は驚いて、その夜は無言で私の腕を抱きしめて眠った。

 

いつだったか私のことを

「絶対にこの愛は裏切っちゃいけないんだと思う」

って言ってたのが忘れられない。

好きだとか愛しいとかじゃなくて戒めのような言葉なのに

当時の私はポジティブに喜んで受け取っていた。

私からの愛に淀みがなくてでも重たくて

嫌悪感と罪悪感との間で苦しんでいたのだろうか。

今も別の人に対して、私はこう思わせやすいのかな…。

 

何度となく別れ話も出たけど

私が彼女へ入れ込む想いは別れに納得する筈もなく

いつしか懇願を足で転がされる女王様と奴隷のような関係になっていた。

私に対する疎ましさが爆発しながらも戒めの余韻があったのか

演技に振り回される私をおもちゃとして楽しむ価値が残っていたのか。

 

この時期に言われた言葉、された行為はまだ人に話す勇気はない。

手料理を振舞うわけでもない私の家に泊まりに来る生活は変わってなかったから

今思えばそれがいじめだとしか考えられないことも

私は恋人関係が続いていると信じていた。

 

おかしいなとはずっと思っていた。

それは彼女の嘘についてではない。

お付き合いを決めた時の彼女は王子様で私は女の子として甘えていられたのに

立場が変わってしまったこと。

いつから私は彼女を守らなきゃとたくさんの我慢をして

必死にフォローするジェントルマン役をやる羽目になったのか。

 

食事は男が奢るものとか荷物を持つとかそういうんじゃない。

彼氏が彼女に甘えることもあっていいと思う。

でも男女間では自ずとある当たり前の性別の偏りが私たちにはなくて

女性同士の恋愛っておままごとみたいだなと感じるようになった。

ただ単に彼女の包容力が私に発揮されなかっただけかもしれない。

でも同性恋愛には最終形態がないように思えた。

電車で見かけるサラリーマンのシンプルな指輪に心底憧れた。

 

記録を更新して連絡がつかない期間が半年を超えた。

ついに余命を迎えて死んじゃったのか

お葬式にもお墓参りにも行けないのかと

嘘の話をそれでも信じて待っていた。

 

大学の友達と寄り道した本屋さんで雑誌に載っている彼女を見付ける。

笑顔の顔写真が大きく載っていた。

掲載されていた彼女の働く店の電話番号に友達がかけて本人に通じた。

私に携帯を渡され私だとわかると「少々お待ちください」と言って切られた。

間違いなく本人の声だった。

 

真実を知った私に沸き起こる殺意を長年かけて必死に必死に鎮めた。

小さく萎ませようとして頑張ってきた。

でも10年以上経ってネット上で再び彼女を見付けた。

自分の店を持った彼女は堂々と連絡先を記載していた。

少し考えたふりをして、勢いに任せてメールを送る。

私は鬱になり(彼女には直接関係ないきっかけで)

復職の予定が決まった治りかけの頃で

正常な判断が出来るようで出来なかった時期なのかもしれない。

自分の心への負担が軽くなるのか重くなるのかあまり検討出来なかった。

 

殺したいと言った。謝って欲しいと言った。

無視されるのを想定した上で攻撃したかった。

でもまさかの謝罪のメールが返ってきて会うことになった。

ずっと謝らなきゃと思っていて1度直接会って話したいと言われた。

今思えば、軌道に乗っている自分の仕事の邪魔をされたくなくて

危険分子を手懐けておく必要性に迫られた過去の清算だったんだろう。

安心を得るための確認を取る一仕事でしかなかったと思う。

 

謝罪に関しては誠意として受け止めたけど

私の心は不安定で何を求めているのかもよく分からなかった。

お金持ちの男性に求婚されてると打ち明けた彼女の顔を今も覚えている。

苦笑いしながら「もうあなたの知ってる私じゃないのよ」と言いたそうに

なんだかとても見下された気がした。

 

ただ唯一彼女をフォローするとすれば

虐待の事実は本当で「望まれた良い子でいたら愛して貰えるかも」

という発想が根付いていたのは大きいんだろうと思う。

でも無理をしているから続かない。

でも求められたい愛されたい、それ故に相手の望むものを演じる。

そんな苦悩があったことを話す点には納得出来た。

 

憎しみながら私はきっとずっと彼女のことが好きだったんだろうね。

恋人とは言わずともやり直したいと言ってみたら

「趣味も変わって共通点がなくなったのに何話すの?接客しろって言うの?」

って鼻から相手にされなかった。

帰り際に求めたハグもやっつけ仕事感全開で背中バンバン叩かれる荒さ。

客観的に当時を振り返れるようになった今、惨めすぎて笑える。

謝罪というハリボテひとつでなんで簡単に心を許しちゃったんだろう。

 

ずっと憎んでいたら良かったのかなとか

仕返しをするならもっと別の効果的な方法があっただろうにとか思うけど

まっすぐにしか生きられない単純で不器用な性格。

ハリボテであっても謝罪して貰えただけ傷は癒えただろうか。

それがなかったら今はもっと憎しみが膨らんでいただろうか。

今も検索すれば彼女の顔写真といくつかの情報が見れる状態にあって

順風満帆そうに見えるその幸せは私の尊厳を傷つける。

 

その後、2人の女の子に告白された。

1人はボーイッシュで男の子役をやってくれる人で

友達として側にいても心地いい人だったから受け入れたけど

彼女は今までノン気で女の子とはキスすら抵抗があると言われ

結局恋人としてはうまくいかなくてすぐ終わった。

私のこと好きなのになんで触れるの嫌なの?好きじゃないの?って

プラトニックでは満足できなかった。

 

女の子を対象とするのは懲り懲りだと思いながら

もし誰かに言い寄られたらまた私はきっと性別を無視してその人を見るだろう。

結婚願望はおろか、出産願望は全くない。痛いの嫌。

育児に憧れはあるけど費用を含めて現実的じゃない。

 

私はきっと好きな人のためなら何でも出来てしまう。

だけどやりすぎてしまう。

でもどこまでがセーフでどこからアウトなのかよくわからない。

好きになりすぎてダメになると自分が壊れることもよく知ってる。

だからもう自分のテリトリーに他人を入れたくないのだ。

私の心を支配するものは私であれ。

他者を遠ざけることでしか自分を守れない。

 

そう思って意欲的に恋人を作ろうとしないまま旬は過ぎ

恋心とは似て非なる遠い世界の人への憧れだけを育んできたのに

またアウトの境界線を曖昧にしてしまった。

どうして。どうして。

 

まともな愛され方と愛し方を両親から学べる人はいいなぁと思う。

私の愛し方も不満の抱かれ方も家庭内でよく見てきたケースだと気づく。

子は親を見て育つ。価値観も振る舞いもそっくり生き映す。

自分本位で一方通行、コミュニケーション下手で押し付け勘違い。

実際に両親はうまくいってない。

親と私もうまくいってない。

表面的に繋がっているだけで、実際は蔑んでいる。

憧れられるような夫婦も家族も私は知らないんだ。

 

大人になってからでも学べるの?もう手遅れなの?

こんな批判を恐れてばかりのことなかれ主義、我関せずの人ばかりの世界で

どうやって愛を学んだらいいの?