吾輩は吾輩である

どこかに理解者いるのかな

マインドコントロール

朝の起床と共に苦痛が浮かぶ。

 

思考回路を取り戻した目覚めの瞬間は、まさに夢から現実に引き戻される。

私はこの世界で生きなければいけないのか。

いやだ。いやだ。こんな絶望の世界でなぜ苦しまなければいけないんだ。

死んでしまいたい。起きたくない。生きたくない。

 

楽しいこともある。嬉しいこともある。

幸せで満たされていた日々を覚えている。

でも絶望と天秤にかけたそれはとてもふわふわしていて

苦痛解放の代償に手放すことが必要ならばそんなに強い執着はない。

 

鬱でふさぎ込んでいた頃、私には寝ることしか出来なかった。

薬の効果を感じたことがなかった。

抗うつ剤とは何なのか。これが本当に効く人がいるのか。

ODの効果も価値も分からなくて、通常の5倍くらいは試してみたけど

絶望の暗闇が平穏に変わることはなかった。

致死量レベルは具合悪くなるだけの失敗になったら面倒な気がして試さなかった。

死ぬなら確実な方法が良い。

 

お酒は好きじゃないけど飲める。ただしあまり酔わない。

ハイになることも、普段閉じ込めていたものがあふれ出すこともない。

ただ味わって、そのうち眠くなるだけ。

ジュースとほぼ変わらないならアルコールである必要がない。

またすぐにでも飲みたいと思わない味だからお金がもったいないし

変貌していく周囲との温度差が面倒なこともあるし飲み会は嫌い。

 

気分を変える筈のものが効かないのはなんでだろう。

理性が強すぎるのだろうか。思考回路が強靭すぎる。

だとしたら思考回路を切り替えて脳を自分でコントロールする以外にない。

 

心療内科の医師は「寝逃げもひとつの手だよ」と言った。

起きていて嫌なことを考えて苦しくなってしまうなら

意識を飛ばして寝れるだけ寝て苦しまない時間を増やしたらいいと。

 

そう意識したら今度は眠れなくなった。

2日くらい寝てなくて眠い筈なのに、何かが強張って眠れなかった。

今寝たらなんかダメな気がしちゃう謎の恐怖感と緊張感が張り詰めていた。

身体は当然疲労していくので生気が抜けた感じになっていた。

 

元々寝つきの良さはのび太くんレベルで横になったら瞬時タイプだったけど

眠剤を常用するようになった。

殺人事件に描かれる睡魔は嘘だって思う程度の効果だったけどないよりはマシ。

風邪薬とか麻酔はちゃんと効くのにな。

抗うつ剤も結局は大量摂取することでやんわり眠気がくると分かって

私にとっての精神系の薬はすべて睡眠薬でしかなかった。

 

意識を持つ時間を消そうとする行為は植物人間のように思えた。

目を覚ますとそこは絶望の世界で、逃げるようにまた眠る。

起きてる間はほぼずっと泣いていた。

つらい出来事のフラッシュバックで頭がいっぱいだった。

 

そのうち目が覚めても現実か夢か分からなくなって

一時的に夢遊病のような症状が出たこともあったけど

2年くらいで落ち着いて今はまたのび太くんになれたんだ。

でもまた、そっちの世界がチラついている。

 

今は救いとなる力強い存在を思うことにしている。

それは苦しみながら生きている人が紡いだ音楽。

色んな絶望を知っていて、安易に切り替えを提案する者を人種の違いだと言う人。

生きろと言う。

生きてるのかと尋ねてくる。

誰のために生きるのかと問い正してくる。

 

依存は自分を支配するものが自分ではない現象。

誰かのために自分を殺してはいけないんだ。

誰かのために作り笑いを浮かべることは、自分のためにもならなければいけない。

自分を殺して誰かを憎むことなかれ。

幸福の生産性を打算せよ。まだ気力が残っているうちに。