職場でのランチは、色んな部署の女性たちと集まって食べる。
仕事中に溜まったうっぷんを晴らすかのように愚痴大会になりやすい。
選抜メンバー同士は、互いの仕事ぶりをよく知らない。
自己主張が情報の全てであり、同調して不満を聞き入れる都合のいい会合だ。
私も適当に同意してはいるものの
もし自分がこの人と同じ部署だったら苦痛だなと思うこともよくある。
その中の1つに「子供じゃないんだから誉めて貰えると思うな」というのがあった。
叱られてばかりの不出来な部下がやっとひとつうまく出来た仕事があって
挽回したかのような顔をしたのが癪に障るらしい。
使えない部下が嫌すぎて何をしても腹立たしいっていうなら分からんでもない。
でも「大人は出来て当たり前のことを褒めない」って価値観には首を傾げた。
「いいじゃん。褒めてあげなよ。否定され続けたら心が折れるよ。」って言っても
何を言ってもへこたれないからあいつは心臓に毛が生えていると笑って反論された。
そのダメ部下は鬱で休職していて復帰したばかり。
でもその休職も仮病だったに違いないと決めつけられている。
入社して半年経った初日に診断書持ってきて休職宣言したから
あまりに手慣れすぎていて常習犯なんじゃないかとか
身内に心療内科の医師がいるし、そもそも自己申告の病は嘘つき放題だろうとか。
トイレで泣いてたという目撃談はある。
私にはどっちが正しいのか分からない。
でも私も鬱で1年半程休職していた時期があるから
他人事として流しづらいものがある。
鬱に対して理解のない人はこんなにも勝手なことを言うのかと。
別の部署でもメンタルからくる体調不良が悪化して退職した子がいた。
浅い付き合いの知人はいたけど、きっと友達がいない子だった。
その子は苦しい胸の内を優しく面倒見てくれた上司であるおじさんに打ち明けたけど
上司は重たすぎて勘弁して欲しいと私たちのランチタイムで暴露した。
「消えてなくなりたい」というメールだったそうだ。
確かに重い。ましてや表面上だけの上司に向けて個人相談はアウトだろう。
自殺が報道されると「誰かにSOSを求めていれば」なんて言う人多いけど
現実はこんなもんだよ。
「俺に言われても迷惑だよ。聞いてよ~」って晒されて終わることもある。
いつも紳士ぶってたのに、ふたを開けりゃこれが本音だ。
退職後に自殺してたりしないよねと縁起でもないことを言った人に向けて
「そういう奴に限って絶対死なないから大丈夫」と例の彼女は笑い飛ばした。
自殺する人としない人の何が分かるの?
私も鬱だった時期は毎日死にたくて仕方なかった。
あの病気にはきっと完治はない。
病気というか、私は鬱は知識のようなものだと思っている。
ポジティブな捉え方とネガティブな捉え方があるということを
意識せずに生きていられる人と、意識することを覚えてしまった人の差というか。
でもまだ生きてるよ。
それは「絶対死なない」なんて保障のもとにある命じゃないよ。
毎日戦って、苦しんで、生き延びるために必死に頑張ってきたんだよ。
それを全否定されたような気がした。
褒めて下さい。褒めてあげて下さい。
こんなつらい世界で今まだ生きていることを。