マンガボックスというアプリで無料でちびちび読み進めていたマンガが先日完結。
一時期ネットサーフィンしてるとこれでもかってくらい広告に出てきて
「できることならもう二度と生まれてきませんように」という
自殺の光景にインパクトを感じてついポチっとクリックしたやつ。
物語冒頭の「イジメで自殺した魂が自分の葬儀を見るシーン」は夢オチなんだけど
過酷なイジメは現実で、予知夢なのか回避出来るのかって導入が興味深かった。
イジメを受けている主人公の感情描写がとても多いのが気に入っていて
「死にたくなる感覚」がとてもリアルで夢中で読んだ。
でも中盤から方向性がガラっと変わって復讐物語になっちゃって
私基本的に復讐に興味がないのと共感出来ないから一気に萎え。
復讐はループするっていうのもあるけど
イジメる側に回ったら嫌悪してたものに取り込まれたみたいで嫌なんだ。
自分を少しでも好きでいる為に、自信持って正当化出来る部分をなくさない為に
例えそれが妥当な仕返しだったとしても同じ悪になっちゃいけないと思う。
とは言え、卑劣なイジメっ子が監禁されて強弱が逆転して
いじめてた時の「強者の理論」を
強者じゃなくなってからブーメランを喰らう展開はなかなか興味深かった。
因果応報、自業自得。
忠実に自分の酷いいじめと全く同じ重さをその身で受けていく。
監禁された元いじめっ子は嬲り殺されかける日々の中で
心から反省して全ての罪を背負おうと改心したのは良かったな。
というか、苦しいものを受け入れる描写には共感しやすくて
どんな理由でも攻撃するキャラには共感出来なかったという結果になった。
苦しんでる人が描かれると私はどうもそちらに感情移入するらしい。
復讐を始めた途端主人公は私にとって主役ではなくなっていた。
ハッピーエンドに導きたいのはお前じゃない、と思うようになった。
今日もYahooニュースのトップに岐阜の中3男子が飛び降り自殺した報道があって
ヤフコメでいじめについて議論が繰り広げられていたので
このマンガについて併せて書いてみようかなと思ったんだけど。
「自殺するなら喧嘩する勇気出して欲しかった」って意見に
どうもこのマンガと同じような共感しかねる感じが被ってしまって。
コメ主はいじめを受けたけど逆切れして
相手ボコボコにしたら舐められなくなったって経緯があるらしく
「強さを見せれば相手は自分を弱者と思わない」っていうヤンキー理論。
まぁ構図として間違ってはないと思うけど、倫理的に正しいとも思わない。
野生の世界の獣の在り方よね。
でも恐怖を植え付けることでしか解決は出来ないのかな。
「相手にやり返す姿」が当事者以外に目撃者されたらどうなるか。
このご時世、それをネットで拡散されたら悪の立場はひっくり返るし
相手が複数人、しかも顔が見えなくて把握出来ない対象ともなったら
その解決策は使えない。
読みかけてしまった以上続きが気になるから最後まで読んだけど
監禁の加減が出来ずイジメっ子たちを皆殺しにしてしまって
それに対する罪悪感だけ描写すれば良かったのに
過剰にエピソード盛り込みすぎてカオスだった。
監禁場所が無害だと思ってた同級生にバレて
実は自分が幼稚園の時にイジメた女の子だったとか
突然その子に刺されて重症で搬送されるとか
刺した子が首吊って自殺とか終盤の数話で一気に死に過ぎ感。
もっと長編にするつもりだったのが突然打ち切られたような。
心の苦しみや恐怖心の描写が味を出してた作品だったのに
最後は主人公が意識失ってる間に物語が進んで
全て知った母が「あなた一人が悪いわけじゃない」と全てを受け入れて
前を向いて生きていこうねという強引なハッピーエンド…？
終わり方が酷くてもったいない。。。
大量虐殺じゃなく一人一人殺したり自殺していく流れなら
もっとその詳細を描かないとその死のエピソードは無駄な気がするよ。
死にました、死にましたのオンパレードで
全然その死が痛ましく思えなくて「え？急に？」って驚いて終わった。
主役と脇役を使い分けないとこういうことになるんだな。。
私がアナザーストーリーを作るなら
親のコネを盾に反省しない若保井が主人公の歩を刺そうとして
本当に改心した鈴木山が身を挺してかばってくれるとか。
幼稚園エピソードはバッサリカットで
単純に同級生に監禁がバレて通報されてあとは法律で裁かれて欲しい。
若保井は別件でも大きな事件やらかしてた背景が明るみになってネット拡散されて
単純に少年院だけじゃ社会復帰出来ない痛手を負わせて
鈴木山は命取り留めて歩と本当の友達になるのがいいな。
「許し」の描写が欲しかったよ。
もしくはバッドエンドでもいい。
歩の様子がおかしいと察した母が監禁場所を見付けて
ドアを開けた瞬間に歩が誤って母を刺し殺してしまうとか。
力を持ってるってことは力を使いこなせる器でなくちゃいけない。
それで後悔して歩が皆の死体を足元に首を吊って
母と接触した時に異変に気付いた元父が現場を見付けるとか。
強引なハッピーエンドほど腑に落ちないものはないなーと思う。
リアルな絶望を描いてくれる作品に触れたいよ。
